Adobe AnalyticsのiTP 2.1対策はサーバーCookie
Post date: May 21, 2019 9:38:23 AM
こんにちは、清水 誠です。Safari 12.1以降ではCookieの有効期間が7日に制限されるようになり、Adobe AnalyticsやGoogle Analyticsのデータに影響が出るようになりました。Adobeからは見解や対策予定がブログ記事(英語)で公開され、3月末のAdobe Summitでも説明がありました。そして「4月か5月には」という予定通り、日本時間の5月14日にiTP 2.1対策の新機能がリリースされたので、その内容と検証結果をここでレポートします。
サーバーからCookieを発行するようになった
対策としてはシンプル。AdobeのサーバーからCookieを発行するようになりました。
実際にSafariで検証してみましょう。以下は、5/21にセットされたCookieの一覧です。
AMCV_****という名前のCookieが、訪問者単位で発行されるCookieです。有効期限が、セットされた5/21からちょうど1週間後の5/28に短縮されていることがわかります。JavaScriptから発行されるCookieは、7日を過ぎたらCookieが消されるのではなく、7日を超える有効期限を指定しても有効期限が7日間に短縮されてCookieがセットされます。
その下の「s_ecid」が、今回のiTP対策としてAdobeのデータ収集サーバーからセットされるようになった新しいCookieです。2年間という7日よりも長い有効期限(正確には2年後の1日前)のCookieがセットされました。
iTP対策のために必要なこと
このiTP対策の機能を有効にするには以下の条件を満たす必要があります。
(1) CNAMEを登録する
これがもっとも敷居が高いですね。自社のDNSにCNAMEレコードを追加し、「xxx.omtrdc.net」というAdobeのデータ収集サーバーに「adobe.example.co.jp」のような自社のサブドメインを割り当てます。DNSを管理している部門と、収集サーバーを管理しているAdobeの両方への依頼が必要になります。
(2) IDサービス 4.3.0以降を導入する
発行された新しい「s_ecid」Cookieの値を読み取り、IDとして採用してデータ計測サーバーへ改めてデータを送信する機能を持つIDサービスを導入する必要があります。
以前のs_code.js時代とは異なり、訪問者に固有のIDを発行する仕組みが「IDサービス」という機能としてAdobe Analyticsから切り出されています。「Visitor API」「Marketing Cloud ID Service」「Experience Cloud ID Service」「ECIDライブラリ」などと時代や文脈によって表記はいろいろなのでご注意。
DTM(第二世代のタグマネージャ)でAdobe Analyticsを導入している場合は、ツール「Experience Cloud ID Service」を最新化します。Launch(第三世代のタグマネージャ)でAdobe Analyticsを導入している場合は、エクステンション「Experience Cloud ID Service」を最新化します。
(3) 計測サーバーをRDCに移行する
Adobeのデータ収集サーバーは、昔はドメインが「2o7.net」であり、地域がサンノゼやダラスなどに固定されていました。RDCとはRegional Data Collectionの略で、世界各地に分散された複数のサーバーを自動で切り替える機能を持ったデータ収集サーバーのことです。RDCのドメインは「omtrdc.net」になります。最近導入していれば、既にRDCになっているはず。
その他
IDサービスを使わずにAdobe計測サーバーにCNAMEを登録している場合は、ファーストパーティの「s_vi」Cookieがサーバーからセットされるので、iTP 2.1の影響を受けません。
この新しい「s_ecid」Cookieは、「AMCV」Cookieが発行されるタイミングでセットされます。対策をリリースしても既存訪問者のCookieが全て延長されるのではなく、7日以上の間隔を開けて再訪問した結果、既存の「AMCV」Cookieが一度消えた時点で、2年間のCookieがセットされるようになります。
CNAMEの対応はAdobe側の手続きや設定に時間がかかるので、Adobeへの依頼はお早めに。
英語で対策の記事が公開されました:ECID library methods in a Safari ITP world