v15のリスト変数はアトリビューション分析に使える
Post date: Jan 30, 2013 6:6:56 PM
リスト変数 (List Variable) はSiteCatalyst 15で新しく導入された変数で、一度に複数の値をセットすることができます。
List Prop(Propでデリメタ文字を指定すると分割された値が個別にカウントアップされるオプション)と似ていますが、リスト変数がList Propと違うのは、
ページや訪問を超えて複数の値を保持できる
訪問を超えたパーティシペーションが可能
同時発生する複数の値のコンバージョンを調べたい場合、長期的な間接効果を調べるアトリビューション分析、に便利です。
リスト変数に複数の値を同時セットする方法
s.list1 = 'aaa,bbb,ccc';
などとJavaScriptで値をセットすると、指定した区切り文字(この場合はカンマ)で区切られたそれぞれの値がセットされます。ページ上に表示された広告やバナー、ほしいものリストに入れた複数のアイテムのように、同時に複数の値が発生する場合に便利です。
必ずしも複数の値を一度にセットする必要はありません。例えば訪問開始時にチャネル名を格納し、有効期限を1ヶ月に設定すると、1ヶ月間のすべての流入チャネルに対してコンバージョンを配分することができます。検索キーワードの長期的な間接効果を調べることもできます。
s.list1 = 'google';
とセットし、次の訪問開始時に
s.list1 = 'yahoo';
とセットした後にpurchaseが発生した場合、 google と yahoo の両方にOrderが配分されます。
アトリビューション設定
リスト変数の枠(1~3)ごとに有効期限と配分方法を指定できます。
有効期限:eVar と同じで、期間またはイベント発生を期限切れの条件として指定できます。
イベント:Purchase、Product Viewなどのカート系イベント、カスタムイベント1~100
期間:ページビュー(同一リクエスト)、訪問、1分、1時間、1日、任意の日数、1週間、1ヶ月、3ヶ月、1年、から選択。
なし:Visitor IDがサーバー側で保持されている限り、永続します。1年間アクセスがないと、visitor情報(訪問回数や永続的なeVar、トラフィックソースなど)はクリアされます。
イベントで指定した場合、すべての値が同時に期限切れになります。期間で指定した場合、個々の値がセットされた時点から起算して期限切れが判定されます。
配分:セット済みで期限切れしていないアクティブな値すべてにコンバージョンが割り当てられます。
Full:期限切れしていないすべての値にコンバージョン(成功イベント)が100%ずつ付与されます。順番は関係ないので、Participationに近い考え方です。「期間を指定できるパーティシペーション」と考えると分かりやすいです。
Linear:100%を期限切れしていない値のユニーク数で割って、均等に配分します。これも訪問を超えられる点がeVarと異なります。たくさん発生すると効果が薄まる、という考え方ですね。「長い期間を指定できるアロケーション」と考えると分かりやすいかもです。
最大値:保持できる値の最大個数です。超えた場合、タイムスタンプの古いものから消えていきます。デフォルトは0、つまり制限なしです。
テストした結果
実際に計測してみます。
まずは訪問内で複数の値にコンバージョンがアトリビュートされるかのテスト。
1ページ目でaとb、4ページ目でaとcがリスト変数1にセットされ、まだ訪問が終わっていない5ページ目でPurchaseが発生したので、a、b、cの全てに対して60円が割り当てられました。
aが2回発生しているからといって120円にならない点にご注意。
次に、訪問よりも長い期間で線形 (Linear)の配分ができるかテストしてみます。
2回の訪問が同日に発生しました。event 1はaとbに0.5ずつ、orderは0.3ずつaとbとcにアトリビュートされました。
データ格納方法が特殊
リスト変数はデータの格納方法が普通と違うので、訪問回数やインスタンス、ページビュー数が意外な結果になります。
上記の例がDataWarehouse上では以下のようになりました。
注意点
リスト変数をセットしたヒットでは、引き継がれた値もセットされた状態で記録される(8行目の「b」)
イベントが発生したヒットでも、引き継がれたリスト変数がセットされる(5, 6, 10, 11, 12行)
そのため、値をセットしたヒット以外でもページビュー数や訪問が増える
分析には役に立たないですが、仮に訪問回数やページビュー数を追加するとこうなります:
bは最初の訪問でしかセットされていないのに、2回目の訪問もカウントされている
リスト変数もイベントもセットされていないtest2のページではページビュー数が増えていない
利用上の注意
SiteCatalyst 15以降で利用可能
H.23以降のs_code.jsを使う必要がある
各値の最大長は255バイト(日本語の場合は1文字が3~4バイトになる)
レポートスイートあたり3つまで有効化できる
データ抽出に対応していない(2013年8月時点)
詳細は公式ドキュメントをどうぞ:https://microsite.omniture.com/t2/help/en_US/sc/implement/index.html#List_Variable(英語)